翻訳さとり日記
30代文系主婦、特許翻訳者への道
学習記録

学習記録(コンタクトレンズ特許)

今日は、シリコーンハイドロゲルレンズに関する特許を読んでみました。

特許:共有結合コーティングを有するシリコーンハイドロゲルレンズ

【発明の名称】共有結合コーティングを有するシリコーンハイドロゲルレンズ
【公表番号】特表2013-513135
【出願人】ノバルティス アーゲー

シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズは、日本では2004年にチバビジョン(現・日本アルコン)から発売されました。以来、改良が重ねられながら、現在も流通しています。

 

シリコーンとシリコンの違い

まず、シリコーン(Silicone)とは、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合(-Si-O-Si-)が主鎖で、そのケイ素(Si)にメチル基(-CH₃)を主体とする有機基が結合したポリマーの総称です。

https://www.silicone.jp/info/begin4.shtml

名前が似ていますが、シリコン(Silicon)はケイ素(元素)を指すため、シリコーンとシリコンは区別する必要があります。

 

シリコーンの特性

従来のソフトコンタクトレンズは、涙を介して角膜に酸素を届けていました。

一方、シリコーンは、素材自体が酸素を透過するため、シリコーンを用いたレンズでは、
より多くの酸素を目に届けることができるというメリットがあります。

https://acuvuevision.jp/article/013

しかし、シリコーンは、表面の有機基が水に馴染みにくいため、疎水性の性質を示します。

レンズ表面が疎水性だと、涙をはじく、脂質を取り込みやすくなるというデメリットがあります。

本特許の発明

本特許では、疎水性のレンズに親水性のコーティングを施すことで、シリコーンの性質に由来するデメリットの解消を目指しました。

概要をまとめたmindmapはこちらです。

本特許の肝となっている部分、レンズと親水性コーティングがどのように結合しているのかについて、図に書いてみました。

・レンズに含まれるアズラクトン部分が、プライムコーティングを形成する親水性ポリマーに含まれるアミノ基又はチオール基と共有結合する

・プライムコーティングを形成する親水性ポリマーに含まれるアミノ基が、トップコーティングを形成する別の親水性ポリマーに含まれるカルボン酸基と静電相互作用及び/又は水素結合するか、アルデヒド基と共有結合する

このようにして、レンズに親水性コーティング(プライムコーティングとその上のトップコーティング)が結合することで、酸素透過性の高いシリコーンの特性を生かしつつ、良好な親水性をも備えたレンズとなります。

トリーズ(TRIZ)の発明原理

こちらの本をもとに、今回の特許で用いられている発明原理を考えてみました。

#29 流体作用原理:
液相で製造している

#30 薄膜利用原理:
レンズを親水性ポリマーでコーティングしている

#40 複合材料原理:
疎水性材料と親水性材料を組み合わせている

#2 分離原理、#34排除・再生原理:
レンズから未重合成分を抽出して取り除いている

 

【参考資料】
https://coopervision.jp/sites/coopervision.jp/files/drsalmonnews0909.pdf
https://www.siaj.jp/ja/silicone/index.html
https://www.silicone.jp/info/begin4.shtml
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000000388.html