翻訳さとり日記
30代文系主婦、特許翻訳者への道
学習記録

学習記録(ソフトコンタクトレンズ特許)

先日、ソフトコンタクトレンズの材料に関する特許を読んでみました。

コンタクトレンズで広がる世界突然ですが、皆さん視力はいいほうですか? 私は、暗いところで本を読んでいたのが原因なのか、中学生の時から視力が悪いです。 起床し...

今回は、レンズ形状の工夫によって課題を解決した特許を読んだので、
整理のためにまとめてみました。

特許:低含水型ソフトコンタクトレンズ

【発明の名称】低含水型ソフトコンタクトレンズ
【公開番号】特開2005-31307
【出願人】株式会社メニコン

本特許は、解決課題の一つとして、
「装着時に涙液交換等による角膜表面への酸素供給が十分に行われること」
を挙げています。

 

なぜ酸素供給の仕組みが必要?

角膜(黒目)は、呼吸しながら新陳代謝を行っています。
呼吸のために酸素が必要となりますが、角膜には酸素を運ぶ血管がありません。
代わりに、表面を覆う涙を介して、空気中の酸素を取り入れます。

ソフトコンタクトレンズは、角膜よりも少し大きなサイズです。


https://morecon.jp/c/389

つまり、ソフトコンタクトレンズを装用すると、角膜(黒目)が覆われてしまいます。

そこで、ソフトコンタクトレンズを着けていても、角膜が酸素不足にならないように
しなければなりません。

それでは、どのように角膜に酸素を供給すればいいのでしょうか?

その方法の一つは、角膜とレンズとの間にたまっている涙を、酸素を含む新鮮な涙と
交換することです。

本特許の発明

本特許では、涙の交換を十分行うことができる形状のソフトコンタクトレンズを
提案しています。

説明に当たって、ソフトコンタクトレンズの各部分の名称について、
この特許の【図2】をお借りしてご説明します。

ソフトコンタクトレンズは、中心部から外側に向けて、

【中心部】 光学部(黄)→ 周辺部(緑)→ エッジ部(濃青) 【外側】

と滑らかに続いています。

 

ソフトコンタクトレンズの光学部と角膜との間には、涙の層があります。


https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/contactlens/tear_and_eye.jsp

先ほども述べたように、角膜が酸素不足にならないためには、
レンズと角膜との間にたまっている涙と、酸素を含む新鮮な涙とを
交換する必要があります。

本特許は、周辺部からエッジ部にかけての形状が発明の肝になっています。
(ここでは、提案されている一つの形態のみご紹介します。)

下の図は、本特許の【図1】で、
レンズ断面の上半分を横から見た図です。

ここで注目したいのは、レンズ全体が単純な半円形になっているのではなく、
光学部(黄)から周辺部(緑)にかけてと、周辺部からエッジ部にかけて、
カーブの曲がり方が変わっていることです。

周辺部では角膜に対して最も接近する凸型になっており、
エッジ部にかけては、角膜から離れる凹型へと変化しています。

 

ここで、青で着色した部分は、ソフトコンタクトレンズと角膜との間の
涙の層を示しています。

レンズと角膜の間にある涙(図中の19の部分)を、
外界に接している新鮮な涙(図中の34の部分)と交換すればよいことになります。

しかし、図の状態では、その間の部分(図中の28の部分)が
角膜に近接しているために、交換したい涙の間が狭まっています。

どうすれば、この間をさらに広げることができるのでしょうか。

 

瞬きで涙を入れ替える

ここで、瞬きがポンプのような役割を果たします。

目を閉じると、ソフトコンタクトレンズに力が加わって、レンズが変形します。

図で見ると、反り返っているエッジ部が角膜に接近する向きに押しこまれるときに、
角膜に近接していた部分が少し浮き上がることで、隔たれていた涙の層の間が
開通します。

次に、閉じていた目を開けると、レンズを押していた力がなくなるので、
レンズは元の形に戻ろうとします。

この時に、レンズの中に閉じ込められていた古い涙と、新鮮な酸素を含む涙が
入れ替わります。

 

瞬きを繰り返すことによって、新鮮な酸素を含む涙をレンズ内に取り込むことができ、
角膜は、酸素を得て呼吸ができるという仕組みです。

まとめ

本特許では、ソフトコンタクトレンズの形状に工夫を凝らすことで、
角膜が酸素不足に陥らないようにしていました。

 

角膜が酸素不足に陥ると、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。

・過剰な水分によって角膜の厚みが増して「レンズをはずした後にメガネをかけても
よく見えない」症状が起こることがある

・角膜のいちばん上の細胞(角膜上皮細胞)がはがれやすくなり、
細菌が付着(感染)しやすくなる

・慢性的に酸素不足になると、角膜の一番内側の細胞(角膜内皮細胞)が
減少したり、酸素を取り込もうと黒目に血管が侵入してくることもある

 

現在では、ソフトコンタクトレンズの材料に、酸素をよく通すものが
使われるようになっており、安全性が向上しています。
今後、この素材に関する特許も読んでみたいと考えています。

【参考】
https://www.menicon.co.jp/whats/happy/users/u03_2.html
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/contactlens/tear_and_eye.jsp
https://alcon-contact.jp/eyenavi/eye-oxygen.html