翻訳さとり日記
30代文系主婦、特許翻訳者への道
特許明細書

コンタクトレンズで広がる世界

突然ですが、皆さん視力はいいほうですか?

私は、暗いところで本を読んでいたのが原因なのか、中学生の時から視力が悪いです。
起床して一番にすることは、眼鏡を探すことです(笑)

中学の時は眼鏡でしたが、高校入学時にコンタクトレンズを買ってもらいました。
眼鏡なしで初めて学校に行ったとき、心もとないような、気恥ずかしいような、
そんな気持ちになったことを今でも覚えています。

コンタクトレンズとは、そろそろ20年のお付き合いになります。
長く使ってきて、その便利さが当たり前になってしまい、
コンタクトレンズが何からできているのか、
どうやってできているのかについて、これまで意識したことがありませんでした。

そこで、コンタクトレンズに関する特許を読んでみることにしました。

コンタクトレンズの概要

特許明細書を読む前に、コンタクトレンズの概要についてまとめてみました。
勉強用に作成したものですが、貼り付けてみます。

※画像は全てインターネットからお借りしたものです。

コンタクトレンズの進化に目を見張りつつ、まずは現在使用しているものに
近いと思われる特許を読んでみることにしました。

特許:含水性コンタクトレンズ及びその製造方法

【発明の名称】含水性コンタクトレンズ及びその製造方法
【公開番号】特開2004-037811
【出願人】株式会社メニコン

明示されてはいないのですが、”含水性”とあるので、コンタクトレンズの中でも
ソフトコンタクトレンズに関するものだと思われます。

【要約】
【課題】10~60%の含水率を有し、煮沸処理を実施しても溶出物が少なく、安全性が良好で、且つ、オレイン酸等の油脂に浸漬しても、著しく膨潤せず、従って油汚れによる装用上の問題が少ない含水性コンタクトレンズと、そのような優れた特性を有する含水性コンタクトレンズを、有利に製造する方法を、提供すること。
【解決手段】(A)エチレングリコール単位が3個以上のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートと、(B)シリコン含有マクロモノマーとを必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られる重合体材料より、含水率が10%~60%の含水性コンタクトレンズを、形成せしめた。

今回注目したい点を太字にしました。

本発明において、コンタクトンズの含水率が10~60%を目指しているのは、
・10%未満だと水分が少なすぎて、レンズが角膜に張り付いてしまう
・60%を超えると酸素透過性が低下してしまう
ためです。

原材料の一つに
(A)エチレングリコール単位が3個以上のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
が挙げられていますが、この”3個以上
“というのが一つのポイントで、3個より少ないと10%以上の含水率を確保するのが難しくなるとのことです。


エチレングリコールの構造式

エチレングリコールはヒドロキシ基(-OH)を2つもつ二価アルコールです。
ヒドロキシ基の水との相性の良さが、含水率の確保に繋がっているものと考えました。

より好ましいのは、エチレングリコール単位が3~5個とされていますが、
分子中にアルコールが多ければよいというものではないようです。

エチレングリコール単位が6個以上のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートは、(B)成分との相溶性(馴染みやすさ)があまりよくなく、また精製が難しいためです。

法律用語について

技術的な内容からは離れてしまいますが、本特許にたびたび出てくる
「乃至(ないし)」という言葉に注目してみます。

【請求項4】
前記エチレングリコール単位が3個以上のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(A)が、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである請求項1乃至請求項3の何れかに記載の含水性コンタクトレンズ。

【0012】
しかも、この本発明に従う含水性コンタクトレンズにあっては、エチレングリコール単位が3個以上のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(A)とシリコン含有マクロモノマー(B)とが、それぞれ、所定の配合割合において配合せしめられて、得られる重合体材料、ひいてはそれからなるレンズの含水率が10~60%となるようにされているところから、優れた酸素透過性を確保しつつ、コンタクトレンズの角膜への吸着が極めて効果的に抑制乃至は阻止され得ているのである。

上の「乃至」と下の「乃至は」は意味が異なります。

上は「請求項1から請求項3まで
下は「抑制または阻止」
の意味で使われています。

「請求項1または請求項3」に違和感があったので(請求項2はどこへ?)、
本明細書においては、「乃至」と「乃至”は”」で使い分けられていることに気づきました。

とは言っても紛らわしいなあと思っていたら、弁護士の方も指摘されていました。
法律用語としては「~から~まで」を意味するようですが、一般的な意味である
「あるいは」「または」との混同を避けるため、法律でも「乃至」の代わりに
「~から~まで」といった表現が用いられるようになってきたそうです。

最後に

今回は、含水性コンタクトレンズ及びその製造方法に関する特許を読みました。
今後もコンタクトレンズに関する特許を読んでいきたいと思います。