目標
岡野の化学(197)~
実績
・岡野の化学(197)~(204)途中まで
学んだこと
・水の状態図の特徴
・理想気体と実在気体
・固体の溶解度(水和水を含む問題)
・浸透圧
固体の溶解度については理論化学①でも学びましたが、
理論化学②では、応用編として水和物の溶解度について学びました。
今日は、理論化学②で学んだ熱化学方程式やルシャトリエの原理から、
溶解度曲線の特徴を見てみたいと思います。
固体が水に溶解するのはなぜでしょうか。
それは、水の中では固体のままでいるよりも、分子やイオンとして
バラバラになり、水分子に取り囲まれる(水和する)方が
安定であるためです。
水和のイメージ図
出典:https://xn--qck0d2a9as2853cudbqy0lc6cfz4a0e7e.xyz/theory/solve-water
具体的に3つの物質について、温度が上がると溶解度が
どのように変化するか見ていきたいと思います。
出典:https://pigboat-don-guri131.ssl-lolipop.jp/831%20Dissolution%20and%20solution.html
最初に、上のグラフにおいて、硝酸カリウム(KNO₃)に注目してみたいと思います。
硝酸カリウムの場合、水に溶けて安定するためには、外から熱を奪う
必要があります。硝酸カリウムの水への溶解は、吸熱反応ということです。
硝酸カリウム(固)の水への溶解熱は −35 kJ/molです。
このことを熱化学方程式で表すと、
KNO₃(s)+aq = KNO₃aq − 35kJ
となります。
ルシャトリエの原理から、熱を加えていくと、その変化を打ち消す方向、
つまり、吸熱反応が進む方向へと平衡が移動することから、
硝酸カリウムは、熱を加えていくと平衡が右に進む、
すなわちどんどん水に溶解します。
一方、塩化ナトリウム(NaCl)の溶解熱は、− 4 kJ/molと
小さな値となっています。
硝酸カリウムとは対照的に、温度に対する溶解度の変化が小さいため、
温度を上げても、溶解度の変化はほぼ横ばいとなります。
最後に、硫酸銅(Ⅱ)(CuSO₄)に注目します。
硫酸銅(Ⅱ)の溶解熱は、硝酸カリウムや塩化ナトリウムと異なり、
+73 kJ/molです。
つまり、硫酸銅(Ⅱ)が水に溶解するときの反応は、発熱反応です。
しかし、グラフを見てみると、硫酸銅(Ⅱ)は、硝酸カリウムや
塩化ナトリウムのように、溶解度曲線が温度とともに上昇しています。
なぜでしょうか。
ここで考慮すべき点は、+73 kJ/molというのは、
硫酸銅(Ⅱ)無水物(CuSO₄)の溶解熱であるということです。
硫酸銅(Ⅱ)無水物は、水を吸収すると
硫酸銅(Ⅱ)五水和物(CuSO₄・H₂O)となります。
硫酸銅(Ⅱ)の溶解度を考える際は、硫酸銅(Ⅱ)五水和物の溶解熱を
考える必要があります。
硫酸銅(Ⅱ)五水和物の溶解熱は、-11 kJ/molと負の値をとることから、
硫酸銅(Ⅱ)の溶解度曲線は、右肩上がりとなります。
以上、固体の溶解度について、
・熱化学方程式
・ルシャトリエの原理
・水和物
の観点から見てみました。
【参考】
http://kinki.chemistry.or.jp/pre/a-374.html
明日(6/28)の予定
岡野の化学(204)続きから