翻訳さとり日記
30代文系主婦、特許翻訳者への道
学習記録

学習記録(2022/2/21)とIUPAC命名法

本日の目標

・資料フォルダ整理
・岡野の化学(18)

実績

・資料フォルダ整理
・動画視聴
4095_質問力を磨く
・岡野の化学(18)ノート作り途中まで

今日学んだこと

ビデオセミナー4095で、一昨日の記事の以下の部分を取り上げていただきました。

3価アルコールのグリセリン(慣用名)について、IUPAC命名法を調べてみたところ、
Propane-1,2,3-triol(googleでの検索結果:約81,000件)
1,2,3-propanetriol(googleでの検索結果:約112,000件)
と両方見つかりました。

PubChemでCID(Compound ID number)を調べたところ、どちらから調べても753にたどり着きました。
違いが気になって少し調べたのですが、答えを見つける事はできませんでした。

管理人さんからのご指摘は以下のとおりです。

・「違い」とは何と何の違いのことを指しているのか。
・どんな「答え」を探しているのかも不明。
PubChemのサイトから調べたとあるが、なぜそうしたのか、また、このサイトでは何ができるのかについて、読者に十分な情報を提供する必要がある。前の段落から文章が飛びすぎ。
・CIDの753にたどり着いたとあるが、どうやってそこまで行ったのか。仮に化合物名からこのページにたどり着いていたとして、そこにIUPAC Nameが”propane-1,2,3-triol”と記載されているのだから、探していた(と思われる)答えはこれではないのか。答えが見つかっているのに「答えを見つける事ができなかった」とはどういう意味か。

読み返したところ、ご指摘のとおり、人に読んでいただくことを前提とした推敲ができていませんでした。どなたかにこの記事を読んでいただく場合には、行間を読む手間をおかけすることになるので、途中で離脱されてもおかしくありません。

実際のところ悩んでいたことは、以下の2点です。

・なぜ二つの名称が使われているのか
・IUPAC Nameがpropane-1,2,3-triolなら、1,2,3-propanetriolが使われている根拠は何か。もしかすると、途中でIUPAC命名法に変更があったのか。

この視点で再度調べてみたところ、この資料を見つけました。該当部分に赤線を引いたものを以下にお示しします。

ここから、IUPAC命名法の変更点が1993年に示され、接尾語で命名される官能基(今回はアルコール:OH)の位置番号を接尾語の直前に書くよう勧告されたことが分かりました。その一方で、書籍によっては従来の名称が採用されている場合があることも知りました。

確認のためにIUPAC命名法の歴史について調べたところ、日本化学会命名法専門委員会の資料に以下のとおり記載されていました。

IUPAC命名法は,1979 年に刊行された「有機化合物命名法 A, B, C, D, E, F および H の部」(以下 1979 勧告)により定められましたが,その後 1993 年に刊行された「有機化合物命名法ガイド」(以下 1993 勧告)により一部補足・修正が行われました。1993 勧告はいわば中間報告にあたるもので,その刊行と並行して 1992 年から本格的な改訂に向けての努力が IUPACの関連委員会でなされていましたが,昨年 (筆者注:2013年)12 月にその成果が表題の著書「有機化合物命名法 IUPAC勧告と優先名 2013」(以下 2013 勧告)として発刊されました。1979 勧告以来の大幅な改訂であり,今後しばらく有機化合物命名法の国際的基準となると思われます。

【参考】https://www.chemistry.or.jp/activity/doc/ci67p1011.pdf

上から、IUPAC命名法の基本は1979年に定められ、その後1993年と2013年に修正・改訂されていることが確認できました。

先の話に戻りますが、1993年の修正にかかわらず、従来の名称が使用されている例が他にないか検索してみたところ、ブルース有機化学(上)第5版 p.98がヒットしました。「アルコールの命名法」というセクションで、以下のとおり記載されています。

官能基(functional group)は有機分子の反応性の中心的存在である。アルコールではOHが官能基である. IUPAC命名法では、いくつかの官能基には接尾語を用いることになっている. たとえば、アルコールの体系的名称は、親炭化水素の名称の語尾の”e”を”ol”に換えることで得られる.

(略)

必要な場合には、官能基の位置番号を、アルコールの名称の直前、あるいは接尾語の直前につける. 最新のIUPAC命名法によると、位置番号は接尾語の直前につけることになっている. しかしながら、アルコールの名称の前にその番号をつける習慣が長かったので、文献や試薬のラベル、標準試験の記述にはこの命名法が多く見られる. また、本書でもしばしば出てくる.

ブルース有機化学(上)第5版の和訳が出版されたのは2009年であるため、ここで「最新」として言及されているのは、1993年の変更であると考えられます。ここからも、従来の呼び方が引き続き書籍内で使われていることが分かります。

なお、ブルース有機化学の和訳最新版は第7版(2014年出版)で、原著は第8版(2016年出版)が最新のようです。IUPAC命名法が2013年にも改訂されていることもあり、最新版で上記の記述が改められている可能性があることは、念頭に置いておく必要がありそうです。

ここまでの結論として、IUPAC命名法に準拠した正式な名称はPropane-1,2,3-triolだが、慣例的に、変更前の名称である1,2,3-propanetriolも使用されている場合がある、と理解しました。

さて、いったんここでこの記事の下書きを中断して、岡野の化学(18)を視聴したのですが、そこであっさり疑問が解決してしまいました・・・。

一般的によく用いられているアルコールの命名法は、CAS(Chemical Abstract Service)命名法だそうです。こちらだと、1,2,3-propanetriolとなります。

先に「慣例的に、変更前の名称である1,2,3-propanetriolも使用されている場合がある」と結論を出しましたが、IUPACの他にも命名ルールがあるのでは、という視点が抜けていました。仮説を立てる際に、複数の視点を持つ必要があることを学びました。

ここまでで、拙いながら 問い→仮説→調査→結論 という一連のステップを踏んだことになります。ビデオセミナーで管理人さんが指摘してくださったように、論文を学会に投稿するわけではないので、実際のところは、どの命名法が正しいのかを気にする必要はなかったのだと思います。しかし今回、自分で答えを見つける練習ができたことは、今後自走していく上で必要な経験だったと思います。

化学の勉強と平行して、文章力と思考力を磨いていきたいと思います。
ご指摘いただき、ありがとうございました。

明日(2/22)の予定

・資料フォルダ整理
・岡野の化学(18)途中から~